社労士が解説!建設業の働き方改革で押さえるべきポイント(2025年3月時点)

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、働き方改革に関する内容について、お話します。

いよいよ2025年度を目前に控え、全ての企業が時間外労働の上限規制の対象になりますので、改めて、内容を整理等したいと思います。

はじめに

2024年4月1日から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。この制度改革は、事務員と現場社員のどちらにも影響を及ぼしましたが、2024年3月31日を含む期間で締結された36協定には経過措置が設けられており、一定の期間は従来の基準が適用されることになっていました。

2025年3月現在、経過措置の適用を受けていた企業でも、新しい規制に完全に移行する時期を迎えています。本記事では、改正の影響や労働時間の考え方、事務員と現場社員の対応の違いについて、過去の経過措置を踏まえながら詳しく解説します。

  1. 2024年4月施行! 建設業の時間外労働上限規制とは?
    1-1. 建設業の働き方改革の目的
    建設業界では長時間労働が常態化し、人材確保や労働環境の改善が大きな課題となっていました。そのため、政府は2024年4月1日から建設業にも時間外労働の上限規制を適用し、労働時間の適正化を求めました。

1-2. 時間外労働の上限規制の基本ルール
建設業の時間外労働の上限規制は、以下のように定められました。

項目内容
原則時間外労働は月45時間・年360時間まで
例外(特別条項適用時)年720時間以内
単月100時間未満(休日労働含む)
2~6か月平均80時間以内(休日労働含む)


建設業では、天候や工程の遅延などの影響を受けるため、例外規定を利用することも多いかもしれません。しかし、過重労働の防止を目的とした厳格な管理が求められています。

  1. 施行時の経過措置と現時点での適用状況(2025年3月時点)
    2-1. 経過措置とは?
    2024年4月1日以降の期間のみを対象とした36協定は、新しい時間外労働の上限規制が適用されました。しかし、2024年3月31日を含む期間で締結された36協定については、協定の初日から1年間は引き続き有効とされ、上限規制は適用されませんでした。

このため、2024年3月までに締結された36協定の有効期限が2025年3月まで残っている企業もありましたが、2025年4月以降はすべての企業が新たな規制に完全移行することになります。

2-2. 事務員と現場社員、どちらも対象?
時間外労働の上限規制は、事務員・現場社員の両方に適用されます。ただし、2024年3月末までは、事務員も適用猶予があったため、実質的な影響は2024年度後半から本格化しました。

特に、経過措置の適用を受けていた企業では、2025年3月末などを迎えることにより、事務員も完全に新基準に移行するため、時間外労働の管理が厳格化される必要があります。

  1. 労働時間の考え方:どこまでが「労働時間」?
    建設業では、直行直帰や出張、研修などが多く、労働時間の考え方が複雑です。以下の具体例を基に整理してみましょう。

3-1. 研修・教育訓練の取り扱い

ケース労働時間に該当するか?
会社が指定する社外研修(休日参加+レポート提出あり)該当する(実質的な業務指示)
終業後の勉強会(参加自由・不参加でも不利益なし)該当しない(自主参加のため)
北海道労働局留萌労働基準監督署


3-2. 直行直帰・出張時の移動時間の取り扱い

ケース労働時間に該当するか?
会社に集合後、社用車で移動(運転者) 該当する(業務の一環)
自宅から取引先へ直行該当しない(指揮命令下にない)
北海道労働局留萌労働基準監督署

  1. 事務員と現場社員の違い:働き方改革でどう対応すべきか?
項目事務員現場社員
時間外労働の上限規制2025年4月から完全適用2025年4月から完全適用
移動時間基本的になし労働時間に該当するケースあり
研修・教育訓練自主参加なら労働時間外(共通)義務研修なら労働時間(共通)
直行直帰基本的になしケースによる(移動時間の扱いに注意)

まとめ & 企業が取るべきアクション(2025年3月時点)

2025年4月以降、すべての企業が新規制へ完全移行するため、以下の対応が求められます。

・36協定などの見直し
 経過措置が適用されていた企業も、新しい基準に沿った労働時間管理が必須。
・労働時間の適正管理
 直行直帰や研修時間の扱いを整理し、適切な運用ルールを作成。
・業務効率化と働き方改革
 ICTの活用や業務分担の見直しなどで、無理なく規制に対応できる体制を構築。

建設業の労務管理は今、大きな変革期を迎えています。適切な労働時間管理を行い、企業の生産性向上と労働環境の改善を同時に実現しましょう。

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