こんにちは。
社会保険労務士・行政書士の浜田です。
今日は、偽装1人親方撲滅へ国が現在、制定をしようとしていることを「3つ」お伝えします。
これからお伝えする内容は、今後の建設業界にとって、とても大事な内容になります。
もし、該当する場合は、早急に対応策を考えましょう!
①社会保険加入に関する下請指導ガイドラインについて
まず、代表的なものとして、「社会保険加入に関する下請指導ガイドライン」の改正が挙げられます。
こちらが、現在パブリックコメントの募集がされている状況です。
⇒詳細はこちら(注:期限が過ぎると、見れなくなる可能性があります)
※期限は、2022年3月3日まで
ざっくりと内容を申し上げると、
「偽装1人親方と疑われる人が、下請けに入ろうとしていることがわかった場合、その1人親方については現場に入れるな」
というものです。
この「偽装1人親方」というのは、
本来であれば、「従業員」として扱わなければならないような人を、社会保険逃れ等を目的としてあえて個人事業主(一人親方)として取り扱っているようなことを指します。
これが、建設業では当たり前のようになっていることから、今回、国土交通省がメスを入れるような形になっています。
上記のガイドラインについては、そもそも令和2年から始まっている「建設業の一人親方問題に関する検討会」で何度も検討された結果、改正にいたったものであります。
このガイドラインが正式に改訂されると、元請のスタンス次第にはなるかもしれませんが、今後偽装1人親方が現場入場するのが難しくなると言えるでしょう。
※偽装1人親方になるか否かについては、国土交通省が下記のようなチェックシートを作成しているので参考にしてみてください。
②建設キャリアアップシステム(CCUS)
2つ目は、建設キャリアアップシステム(CCUS)です。
これが、何故一人親方撲滅と関係しているかと言いますと、まず、この建設キャリアアップシステムの趣旨を説明します。
建設キャリアアップシステムは、建設現場の入退場に建設キャリアアップシステムカードを使用することで、そのカードを持っている作業員さん等の就業履歴が記録され、技術力がどれくらいあったりするのかを一目で把握できるようにすることが目的であります。
そのため、この現場の就業履歴が記録されることになるので、
例えば、偽装1人親方を使用している上位の元請が、この偽装1人親方と就業履歴がまったく一致しているような場合
については、偽装1人親方の疑いが出ると言っても過言ではありません。
結局、「ずっと同じ現場で働く=実質雇用」
と考えられてもおかしくはないということです。
これが、建設キャリアアップシステムが導入されることで、よりシステム上で明確にわかるようになるということになります。
※国土交通省は、令和5年に官民工事全てに建設キャリアアップシステムの導入を目指しています。また、建設キャリアアップシステムの導入を推進しているのは、「大手ゼネコン」が多いことから、下請けになっている建設業者様も建設キャリアアップシステム導入は例外ではありません。
雇用か否かの話は、①のガイドラインで触れたチェックシート等を活用して判断してもらうのがいいと思います。
※当事務所の、建設キャリアアップシステムページはこちら
③インボイス制度
最後に取り上げるのが、インボイス制度です。
こちらは、偽装1人親方というよりは、「1人親方」に関係するお話になります。
インボイス制度はざっくりと申し上げると、
現在、消費税の申告をしなくていいような(これを免税事業者といいます。)1人親方が、今後も免税事業者であり続けるような場合、その1人親方に報酬を支払っている事業者は、その1人親方に支払った消費税分は支払ったことにならないため、1人親方の消費税分も含めて申告しなければならないというものです。
つまり、「消費税を2重払いする」ことになるということになります。
上記の状態を解消するには、
・免税事業者である1人親方が、課税事業者になる
・消費税分を見据えた報酬額を設定する
といったことをせざるを得なくなるでしょう。
そうすると、必然的に1人親方の収入は減ることになりますから、
これまで社会保険加入逃れを目的としていたような会社にとってはあまりメリットがなくなると言えるでしょう。
インボイス制度については、令和5年10月からスタートします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、今後偽装1人親方に対する環境はどんどん厳しくなっていくことをご説明させていただきました。
本来であれば、従業員として雇用しなければならない人であり、人手不足と言われている建設業界にとっては貴重な人材であることから、適切な処遇にする方がいいと言えるでしょう。
【参考記事】
「偽装1人親方(個人事業主)」と「従業員」での待遇に大きな違いがあります!
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