そもそも人工出し(常傭工事)は可能なのか?

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、建設業界で常態化している人工出し(常傭工事)についてお話ししようと思います。

まず、建設業務については、「有料職業紹介事業」「労働者派遣事業」は行えないことになっています。

浜田

「人工出し(常傭)をしたらどうなるか」までを記載した記事は、非常に少ないように思います。

そのため、ここで学んでいただければと思います。


有料職業紹介事業とは

無料の職業紹介以外の職業紹介のことを言います。
無料の職業紹介とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介を言います。

ここで言う「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいいます。

つまり、ここでいう有料職業紹介事業とは、あくまで「紹介」のため、「有料の就職マッチングサービス」のようなものを言います。無料であれば規制の対象外です。

※こちらは、雇用関係を成立させるものであるため、応援のようないわゆる人工出しとは少し違いますね。


労働者派遣事業とは

労働者派遣とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいいます。
※請負は、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」ことです。

労働者派遣は、いわゆる人工出しに該当しそうな気がしますよね。
⇒応援で、自社の作業員数人が発注者の所に行き、作業をするといった性質のものが該当する可能性があります。


何故、建設業の労働者派遣はダメなのでしょうか?

・受注生産、総合生産等その特殊性にかんがみ、建設労働者の雇用の安定を図るため、労働者派遣事業とは別に、建設労働者の雇用の改善等に関する法律において、建設労働者の実情を踏まえた特別な労働力需給調整制度として建設業務労働者就業機会確保事業制度が設けられているためです。

厚生労働省HPより

・また、建設工事は元請・下請のように何社も集まって構造物や建築物を造ることがほとんどです。そのため、上記のような労働者派遣を認めてしまうと、複数の企業が混在する中で指揮命令の責任者が誰なのかが曖昧になるという事態をまねきかねず、特に建設工事の現場では労働災害の危険性が高いことから(他の企業と比べても労働災害による死亡者数は高く、全産業の約3割が建設業です)、曖昧な指揮系統が結果として事故を招きかねません。そういった要請もあると考えられます。

以上の理由から、労働者派遣は禁止されていますので、該当してしまいそうな「人工出し」にはくれぐれもご注意ください。


では、建設業の労働者派遣をした場合、どうなるの?

ここが気になるところかと思いますが、この労働者派遣を建設業で行った場合、どうなってしまうのでしょうか?

論点としては、2つございます。

労働契約申込みみなし制度(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第40条の6)の対象になる
罰則の対象になる

です。

罰則はイメージがつきやすいかと思いますが、同法の第59条第1号の規定により、人工出しが上記の法律違反となれば、

「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」

に処せられますので、最悪の場合は、建設業許可取消の対象になります。

浜田

最悪、「建設業許可」にまで影響がありますので、注意する必要があります!


※許可取消関係の記事については、こちらも参考にご覧いただければ良いかと思います。
※要するに役員が懲役刑に処せられると、建設業許可は取消です。

参考:労働者派遣法で禁止されている建設業務⇒土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務のこと。この業務は、工事現場で直接これらの作業に従事するものに限ります。

そして、「労働契約申込みみなし制度」というのは、簡単に申し上げますと、

「人工出しをしてもらった側の会社(元請会社等)」が、人工出しをされた「人(下請け会社の従業員等)」に労働契約を申し込んだと「みなす」制度です。

つまり、元請会社は、下請け会社の従業員さんを雇わなければならなくなる可能性があるということです。

なかなか、恐ろしい話ですよね。

上記のように、大きなデメリットが2つございますので、人工出しではなく、請負契約をすることが好ましいと思います。

※当事務所は、建設業専門で「社会保険労務士・行政書士」をやっていることから、許可・労務のエキスパートです。

※単純に許可を取るだけの事務所ではなく、「建設業法」や「労務に関連する幅広い法律」にも精通しておりますので、上記のような

「何が人工出しで、何が請負契約になるのか」

といった話も含めて色んなお悩みを解決していただけると思います。

弊所は、上記のような特殊な相談もできる数少ない社会保険労務士・行政書士事務所です。一度、ご検討ください。

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