こんにちは。
社会保険労務士・行政書士の浜田です。
今日は、産業廃棄物収集運搬業許可における「積替え保管あり」について少しお話しします。
「積替え保管あり」と「積替え保管なし」との違いは?
収集運搬業許可における「積替え保管あり」が「積立保管なし」と比べて大きなメリットになることとしては、一度事業所等に持って帰ってきて、数日ためておいてから、まとめて処分ができ効率的に収集運搬が可能になる・車両同士の積替えが可能になることです。
これをするためには、産業廃棄物の「環境への配慮」が必要なことから、勝手にすることができず、自治体の「積替え保管あり」の許可が必要になるということです。
※通常、積替え保管なしを取得している方が多いと思います。
正直、「積替え保管あり」の取得は難しいです!理由をお話しします。
いきなりこんなことを言うのもですが、正直、取得はかなり難易度が高いです。
理由をいくつかお話ししましょう。
先ほども少しお話ししましたが「積替え保管あり」は、一度保管をしたりするわけですので、「環境への配慮」が必要になります。
そのため、自治体によっては、
「周辺住民への同意」
を求めるところもあり、この同意が広範囲(例:敷地境界から200m以内)にわたる可能性があります。
そうなると、周辺住民への同意を取るだけでも数か月~数年要する可能性があります。
いかに円滑に事業の説明ができるかが非常に重要になってくるでしょう。
さらに、「環境調査」が必要になることがあります。
例えば、騒音・振動(場合によっては地下水の状況)等を調査し、申請予定の自治体に結果を報告する必要があったりします。
そして、積替え保管ありを認めるにふさわしい施設になっているかを確認するために、「施設の構造がわかる図面」の提出を求められることも多いです。
上記をきいただけでも、かなり手続きには時間がかかりそうということがわかるでしょう。
そして、上記をクリアできるとしても「自治体との協議」が残っています。
自治体といってもいくつもの課と事前調整をしておく必要があり、単純に産業廃棄物の担当課とだけ調整をしていると、あとあとになって「積替え保管あり」の許可が認められないケースも出てくることがあります。
上記をクリアすると、無事産業廃棄物収集運搬業許可の「積替え保管あり」の許可を取得することができます。
参考に、埼玉県のフローを添付しておきます。
産業廃棄物の保管基準及び積替え保管基準について
先ほど、「環境への配慮」が必要であることは述べましたが、具体的に保管施設について、どのように注意すべきかといったことについてお話しします。
産業廃棄物の保管基準について
1.保管場所の周囲に囲いが設けられていること(囲いについて、明確な基準はなし)。保管する産業廃棄物の荷重が囲いに直接かかる場合には、倒れたりしないような囲いを設置する必要があります。
2.産業廃棄物の保管に関して必要な事項を表示した掲示板が見やすい位置に設けられていること(掲示板の大きさは、縦60cm×横60cm以上)。
a.産業廃棄物の保管場所であること
b.保管する産業廃棄物の種類
c.保管場所の管理者氏名または名称、および連絡先
d.屋外で容器を使わずに保管する場合、最大保管高さ
3.保管場所から産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が生じないような防止措置をとること。
4.産業廃棄物の保管によって汚水が生ずるおそれがある場合は、公共水域および地下水の汚染防止のための必要な排水溝やその他の設備を設ける必要があります。また、それらの設備の底面は、不浸透素材を使用して覆うことが必要になります。
5.保管場所には、蚊、ハエといった害虫が発生しないようにすること。
6.産業廃棄物を容器に入れずに「屋外」で保管する場合は、次の基準を満たすこと。
a.産業廃棄物が囲いに接しない場合は、囲いの下端からの勾配は50%以下であること
b.産業廃棄物が囲いに接する場合(直接、壁等に負荷がかかる場合)は、囲いの内側2mは囲いの高さより50cmの線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下とすること(勾配50%とは、底辺:高さ=2:1の傾きで約26.5度です)
※上記以外の基準が自治体ごとに存在する可能性があります。
※特別管理産業廃棄物の保管については、上記以外に品目に応じて別途基準があります。
積替え保管基準について
1.あらかじめ、積み替えを行ったあとの運搬先が定められていること。
2.搬入された産業廃棄物の量が、積替え保管場所において適切に保管できる量を超えないこと
3.搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
収集運搬における積替保管数量の上限は、次のように定められています。
「保管上限=1日あたりの平均搬出量×7」
上記をクリアできるように事業計画を策定する必要があるということになります。
どこの自治体の許可を取るかは注意しましょう!
通常、産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際は、
・産業廃棄物を収集をする場所
・産業廃棄物をおろす場所
の許可を取得する必要があります。
そして、この「積替え保管あり」の許可については、
「保管する場所」
の許可を取得する必要があります。
例えば、埼玉県志木市で「積替え保管あり」の許可を取得する場合には、埼玉県の産業廃棄物収集運搬業許可を「積替え保管あり」で取得する必要があります。
※すでに、「積替え保管なし」の許可を取得している場合は、「積替え保管あり」の許可に変更(変更許可)する必要があります。
また、政令市の区域内で積替え保管を行う場合には、埼玉県ではなく、「政令市」の積替え保管ありの許可を取得する必要があります。
⇒埼玉県の場合は、「さいたま市、川越市、川口市、越谷市」が該当
例えば、収集運搬業は埼玉県全域で行うが、積替え保管場所は川越市
⇒「埼玉県の積替え保管なしの収集運搬業許可」+「川越市の積替え保管ありの収集運搬業許可」を取得する必要があります。
では、講習の区分はどうなるのか?
積替え保管ありといえども、「収集運搬業許可」であることに変わりはないので、「収集運搬課程」の講習を受けるようにしましょう!
他法令にも注意が必要です。
積替え保管ありの許可を取得する際は、自治体との協議があるのですが、この協議は、産業廃棄物収集運搬業の所管課だけでなく、他の課とも行われますので、都市計画法といった関係法令もおさえておく必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
積替え保管ありの許可取得には、通常の積替え保管なしの収集運搬業許可と比べて、確認することが格段に多いことがわかると思います。
また、許可に要する期間も、積替え保管なしの場合は通常2か月程度で取得できますが、積替え保管ありの場合は、スムーズに許可が取れても半年以上はかかります。
そのため、入念に準備して、許可を取得するようにしましょう。
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