【知っておきたい建設業法】請負契約書の重要性!

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、建設工事における「請負契約書の重要性」について、大阪万博の件を引き合いに出して、解説したいと思います。

請負契約書の重要性(建設業法上、本来はマスト!)

大阪万博関連工事において、施工業者への未払い問題が表面化し、ニュースなどで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

そして、改めて「請負契約書」の重要性が業界全体で注目されています。
※本稿で焦点を当てたいのは、大阪万博の個別事情ではなく、日常の建設工事において、建設業者として何を意識し、どうリスク回避をすべきかという普遍的なテーマです。

建設業法に規定された契約書の締結義務

建設業法第18条では、

「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない」

と定められています。

さらに、第19条第1項では、

「建設工事の請負契約の当事者は、前条(第18条)の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない」

と明記されています。

次に掲げる事項とは、

工事内容
請負代金の額
着工・完成時期
その他支払条件(前金、出来形払いなど)
変更(工期・請負代金など)に関する定め
不可抗力時の対応
物価変動対応
第三者賠償責任
違約金等
契約に関する紛争の解決方法

などの、計15項目になります。

口頭や請求書だけは違法

実務上、長年の付き合いなどの理由により口約束や見積・請求書だけのやり取りで済ませるケースも多々あると思いますが、これは請負契約書が未交付なため、建設業法違反(第19条違反)となります。さらに、そのことにより、行政指導・処分などの対象になることもあります。ですので、書面により契約書を締結することが本来は求められているのです。

これは、契約書がないことによる、「いった・いわない」を防ぐためであり、立場の弱い契約者を守る意味合いがあります。なお、電子契約については、国交省の技術基準を満たせば、書面に代わり使用可能です。

ガイドラインに見る具体的注意点

国交省が令和6年12月に改定した「建設業法令遵守ガイドライン」では、下記の内容を強く推奨しています。

・見積提示の前に契約条件(工事内容、工期、支払方法など)を開示し、適正な見積期間を設ける(法第20条第4項)
・書面契約の徹底(第18条・第19条)
・工期や代金が不当に短すぎたり低すぎたりしないようチェック(第19条の3・5)
・市場価格変動に応じた設計変更や工期変更に備える条項の整備
・支払遅延・長期手形・不当な追加コスト請求の抑制
・帳簿保存と透明な記録保持

とくに元請・下請間で交わす契約では、注文者側の力関係に配慮し、対等な取引を確保するための文書化が求められており、違反すれば取り締まりや罰則の対象となる点が強調されています。

初見の相手とは必ず書面契約を

通常の取引であっても初めての施工依頼については、必ず書面契約を結ぶことが重要です。なぜなら、信頼関係が構築されていない中で、万が一代金未払い等のトラブルが発生した場合、「いつ・誰が・どのように」支払うかが明文化されていれば、明確な根拠として交渉・回収が進みやすくなるからです。

逆に契約書がなければ、トラブルが発生した時に、誰がどのような責任を負うのかが明文化されておらず、不必要な交渉などが発生し、結果として、大きな損害を被ることも予想されます。金額が大きければ大きいほど、企業の経営基盤を揺るがす問題に発展し、代金が回収できないことで、最悪、倒産といったケースも考えられます。

当事務所の支援内容

当事務所では、建設業許可・CCUS・産廃・許認可業務などに加え、このような契約書チェック・管理体制構築・契約書変更対応などまでサポートしています。

建設業法はもちろん、国交省のガイドラインにも沿った書式整備、業務フローの見直しをご依頼いただけます。

まとめ:契約書は“建設業者を守る盾”

・建設業法18・19条により契約書は義務であり、未交付は行政処分対象

・契約変更も書面化が必須、電子化なら技術基準を遵守

・国交省ガイドラインで見積前提示・適正工期・適切代金が強調

・初見のクライアントとは必ず書面契約を行い、リスクヘッジ

建設業者として、書面での契約締結と適正管理体制の構築は、自らを守る最低限の防御策です。信頼ある取引を続けるために、一緒に「組織の安全」と「法令遵守体制」を整えましょう。


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⇒当事務所は、上記のとおり現場のことも社会保険のことも熟知しているため、思わぬトラブルを事前に回避することができますので、ご安心ください。

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