建設業許可における「令第3条の使用人」とは何なのか

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、建設業許可(埼玉県)における「令第3条の使用人」とは、一体何のことを言っているのかをご説明いたします。

この記事を読んでいただければ、自社に令第3条の使用人が必要なのかどうかが分かるようになります。

〜営業所の実質的責任者の位置づけと実務上の留意点〜

建設業における許認可制度は、事業者の信頼性を確保し、適正な施工体制を整備するための重要な枠組みです。その中でも、「営業所ごとに置くべき使用人」に関する規定――すなわち建設業法施行令第3条の使用人の規定は、許可の適正運用において極めて重要な意味を持ちます。


■ 建設業法における「営業所」と「使用人」の関係性

まず、建設業法において「営業所」とは、請負契約を継続的に締結する場所を意味します。

そしてこの「営業所」ごとに、建設業法第7条の要件を満たす技術者(いわゆる営業所の専任技術者)を配置し、さらにその管理責任者として「使用人」を置くことが義務付けられています。
⇒ちなみにですが、「本店」については、常勤役員等(経営業務の管理責任者)を置きますので、令第3条の使用人については、「支店」ごとに必要になるイメージです。

ここで言う「使用人」とは、単なる従業員という意味ではありません。建設業法施行令第3条では、この「使用人」について次のように規定しています。


■ 令第3条の条文抜粋

建設業法施行令 第3条(営業所の使用人)
…法第7条第3号、法第8条第4号…の政令で定める使用人は、支配人及び支店又は第一条に規定する営業所の代表者(支配人である者を除く。)であるものとする。


■ 建設業許可事務ガイドライン上の令第3条の使用人について

「建設業法施行令第3条に規定する使用人」とは、建設工事の請負契約の締結及びその履行に当たって、一定の権限を有すると判断される者、すなわち支配人及び支店又は営業所(主たる営業所を除く。)の代表者である者が該当する。
これらの者は、当該営業所において締結される請負契約について総合的に管理することや、原則として、当該営業所において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事(テレワーク(営業所等の勤務を要する場所以外の場所で、ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、当該所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境下においてその職務に従事することをいう。以下同じ。)を行う場合を含む。)していることが求められる。

建設業許可事務ガイドライン

■ 「契約を締結する権限を有する者」の意味

この文言にある「契約を締結する権限を有する者」とは、営業所において実質的に責任ある立場にある者を意味します。たとえば、以下のような人物が該当します。

  • 支店長や営業所長など、一定の決裁権限を持つ役職者
  • 請負契約の交渉・締結を一任されている者
  • 本店からの明確な委任を受けて契約権限を持つ者

逆に、単なる事務担当者や、現場作業員、アルバイト等は「使用人」に該当しません。ここで重要なのは、肩書きだけでなく「実質的な権限の有無」で判断される点です。


■ 実務上の典型的なケースと判断基準

1.支店・営業所に営業部門がある場合

その拠点で契約締結が日常的に行われている場合、責任者(支店長など)は、原則として「令第3条の使用人」に該当します。

2.現場事務所や出張所の場合

施工現場に仮設される現場事務所などでは、契約業務が行われていない場合も多く、「営業所」に該当しないことがあるため、「令第3条の使用人」の設置義務も原則発生しません。ただし、現場で元請や施主と追加契約等を行う場合は、注意が必要です。

3.本店・本社のみで契約を締結する形態

すべての契約が本店で行われ、他の拠点はあくまで技術支援や管理のみを行っている場合、それらの拠点は「営業所」とは見なされず、「令第3条の使用人」も不要となるケースがあります。

■ 建設業許可事務ガイドライン上の「営業所」の定義

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。
したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。
また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。


■ 使用人の届出義務と変更時の注意点

建設業許可を受ける際には、令第3条の使用人の氏名・役職などを記載した書類を提出する必要があります(役員等の一覧表・様式第十三号等)。また、使用人の就任・変更・退任があった場合には、2週間以内に変更届を提出する必要があります。

提出書類には以下のようなものが含まれます。

  • 様式第13号調書(住所、生年月日等に関すること)
  • 登記されていないことの証明書
  • 身分証明書(本籍地のある市区町村で取得)

令第3条の使用人が不在、あるいは不適切な人物であると判断された場合、許可の更新等において不利益を被る可能性があります。


■ 使用人の不在によるリスク

令第3条で定められた使用人が適切に配置されていない場合、以下のようなリスクが考えられます。

  • 許可の新規取得・更新ができない
  • 行政指導や監督処分の対象

特に公共工事を主軸とする企業にとって、契約に関する権限を有する「営業所の使用人」は事業の根幹に関わる存在となります。


■ 実務に即した使用人選定のポイント

  1. 役職の有無ではなく「契約権限の実態」で判断
     名ばかりの所長では不十分です。実際に契約締結ができるか、社内で明文化等されているかを確認。
  2. 定期的な社内体制の見直し
     人事異動や事業再編の際には、必ず使用人の変更届が必要になります。忘れがちな点なので定期チェックが重要です。
  3. 書類の整備と保管
     任命通知書や委任状など、根拠書類をいつでも提出できるよう社内で保管体制を整えておくべきです。

■ まとめ

建設業法施行令第3条に定められた「使用人」は、単なる営業所の従業員ではなく、営業所における契約締結の実質的な責任者です。適切な人選と届出を行うことで、建設業許可制度の信頼性を保ち、健全な事業運営を支えることにつながります。

特に中小建設業者においては、人材の固定化や役職の兼務が多いため、誰が「使用人」に該当するかの判断が曖昧になりがちです。しかし、その一つひとつの手続きや判断が、将来的なトラブルや審査上の不利益を防ぐことになります。


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