「法定福利費」の下請事業者への適正な支払いが、建設業界の未来には絶対に必要です!

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、久しぶりに時事ネタのお話をしようと思います。

国土交通省が実施した法定福利費に関するモニタリング調査について

以下、建設工業新聞の記事の抜粋です。

国土交通省は主要な元請企業を対象にしたモニタリング調査の結果を明らかにした。下請取引の実態把握を目的に、適正な手順や内容で契約が行われているかどうか各社の支店や現場所長などを直接ヒアリングして確認。法定福利費に着目すると、内訳明示が不十分だったり適正額が設定されていない恐れがあったりするケースが一定割合あった。結果を踏まえ、七つの改善すべき事項を調査対象企業に28日付で通知した。

継続実施中のモニタリング調査の2021年10~12月分の結果をまとめた。完成工事高上位の元請を中心に20年度の受注工事からヒアリング対象を無作為に選定。民間工事や地方自治体発注工事も含まれる。調査件数は非公表。

調査で不適切な傾向が強かった事項を抽出し、▽標準見積書の活用などの働き掛け▽契約書や見積書での法定福利費の内訳明示▽適正な社会保険への加入を確認できない作業員の現場入場▽合理的根拠のない一方的な値引き(指し値発注)▽技能者の賃金上昇を阻害する単価設定▽労務費相当分の現金支払い▽適正な施工体制の確立-の7項目で改善や配慮を要請した。

調査結果によると、標準見積書の提出を下請に働き掛けているのは35%。企業単位を対象とする下請取引等実態調査の数値(21年度調査で66・3%)と隔たりがあり、支店・現場の対応実態があらわになった。法定福利費を内訳明示していない不適切事例は5%。内訳明示している場合も、最も適切な計算式の「就労予定人数×労務単価×法定福利比率」は約1割で、算定根拠が不明なケースが約4割あった。

契約金額に占める法定福利費の割合が著しく低い事例は18%。契約金額から大幅な一括値引きが行われ、実質的に法定福利費や労務費を賄えないような事例も28%あった。いずれかの事例を確認した割合を公共工事の落札率別に整理すると、落札率90%以上で13%、90%未満で22%。落札率が低くなると下請や技能者にしわ寄せが及ぶ傾向が強まる結果となった。

モニタリング調査の1~3月分は別途まとめる。労務費や原材料、燃料のコスト上昇分の価格転嫁の円滑化を推進する政府方針を踏まえ、スライド条項の設定状況や価格転嫁の協議状況を重点的に聞いた。

上記の記事について、私が思うこと

まず、第一に法定福利費への理解が元請事業者も含めできていないことが大きいと思います。

例えば、法定福利費には社会保険料が含まれることになりますが、

そもそも

「法定福利費って何?」

「社会保険料って何?」

という話になる人が多いと思います。

これも、法定福利費が結果的にカットになっている一つの要因ではないかと考えています。

といいますのも、実際、

「社会保険料が給与に対して何パーセントかかっているのか?」

「そして、事業者の負担はいくらになるのか?」

といった問題を知っている人であれば、それを見越した契約額に設定するのが通常ではないかと思うからです。

言い換えれば、

「普通、赤字になるとわかっている工事を受注しますか?」

ということです。

赤字になるかどうかは、必要な工期に対しての従業員さんに支払う給与や会社が負担する社会保険料も含めて当然判断するわけですから、

「絶対にこれ赤字になるでしょ?」

という現場は、何か他に断れない事情等がない限りは受注しないはずです。

ここをざっくりと勘定してしまえば、結果的に赤字になってしまったということも起こりえるでしょう。

法定福利費の算出方法

では、どうやって法定福利費を算出するかについてお話しします。

国土交通省は、法定福利費を以下のように算出するよう求めています。

そもそもとして、法定福利費(社会保険料)といった場合、

健康保険料(介護保険料含む)、厚生年金保険料(児童手当拠出金含む)、雇用保険料、労災保険料がありますが、見積書で内訳明示する法定福利費は、原則として健康保険料(介護保険料含む)、厚生年金保険料(児童手当拠出金含む)、雇用保険料のうち、現場労働者(技能労働者)の

「事業主(会社)負担分」

です。

内訳明示する法定福利費の範囲は、事業主負担分を基本としていますが、各社が個別に表中の『×』の部分を内訳明示しても構いません。

その場合、法定福利費として内訳明示している範囲を明記する必要があります。(例えば、「法定福利費は、××保険料の本人負担分も含んでおります。」など)

具体的な法定福利費の基本的な算出方法

「法定福利費=労務費総額×法定保険料率」

法定福利費は、通常、年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します。しかし、各工事の見積りでは、労働者の年間賃金を把握することは不可能です。

そのため、見積額に計上した『労務費』を賃金とみなして、それに各保険の保険料率を乗じて算出する方法が一般的です。

参考までに「各保険」のおおむねの保険料率を下記に示します。
※令和4年4月現在

・健康保険料率⇒(協会けんぽの場合)3%から13%の範囲
※現在、約10%程度⇒都道府県ごとに違います

・介護保険料率⇒1.64%

・厚生年金保険料率⇒18.3%

・子ども・子育て拠出金率⇒0.36%

・雇用保険料率⇒(建設の場合)1.25%

これらをトータルすると、かなり大きい金額になることがわかりますよね!

では、次に上記を反映した「見積書」をどうやって作るのかについて、下記に例を示します。

見積書の例

国土交通省HPより

これで、法定福利費の含んだ見積書が出来上がります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

法定福利費は、本当に大きな額を占めることになるので、これを元請事業者が払わないとなるといかに下請事業者に迷惑がかかるかは明白でしょう。

建設業界に、いい人材が入ってくるためには、上記のような配慮は必ず必要です。

ただし、下請事業者も、法定福利費を元請事業者が払わないからといって、

個人事業主=偽装1人親方

にすることは、許されません。

その辺りは、こちらの記事で書きました(動画付)ので、興味のある方はご覧になってください。

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