こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。
今日は、令和5年からの経営事項審査(経審)の改正点について、解説します。
そもそも経営事項審査(経審)とは?
経営事項審査とは、公共工事を受注するために必要な「事前の審査」になります。
実際の入札(札入れ)をするためには、この経営事項審査(経審)を事前に受ける必要があります。
また、この経営事項審査を受けるためには、「建設業許可」を取得している必要があります。
令和5年の経営事項審査(経審)の改正点について
では、本題の改正点について入っていきましょう。
令和5年1月からの改正点としては、下記のとおりになります。
- ワークライフバランスに関する取組み(くるみん、えるぼし、ユースエール認定取得)を評価
- 建設機械の追加(ロードローラーやダンプトラック等)
- エコアクション21の追加
また、令和5年8月14日以降は、下記の事項が改正対象になります。
- CCUSの現場導入している元請企業を評価
具体的に見ていきましょう。
ワークライフバランスに関する取組み
こちらは、担い手の育成・確保を趣旨としています。
人材を確保するのが難しい昨今の状況において、担い手を確保することは容易ではありません。
そのため、働き方改革を推進する意味でもワークライフバランスに関する取組みをしている企業については、経営事項審査において加点の対象になります。
具体的には、下記のとおりになりますが、各種の認定を受けることで加点の対象になるということになります。
CCUS(建設キャリアアップシステム)の現場導入
同様に、処遇改善を目的としているCCUS(建設キャリアアップシステム)を率先して導入している企業についても経営事項審査において加点の対象になります。
ポイントは、
- 「令和5年8月14日以降を審査基準日」とする申請で適用されること
- 民間工事を含む「全て」の建設工事で実施する、もしくは、「全て」の公共工事で実施する必要があること
- 就業履歴を直接入力によらない方法で行うこと
です。
建設機械の追加
地域防災の観点から、災害対応力のある建設機械を保有している企業を評価しようと、建設機械の種類が追加されました。
具体的には、ダンプトラック(土砂運搬の可能な「全て」のダンプ)、締固め用機械(ロードローラー等)、解体用機械、高所作業車(作業床の高さ2m以上)が対象になります。
環境への配慮として、エコアクション21を追加
環境への配慮に関する取組として、国際標準化機構が定めた規格によるISO14001の登録状況を評価しているところ、脱炭素化に向けた取組が加速する中、環境問題への取組を適切に評価する観点から環境省が定める「エコアクション21」の認証取得状況を加点対象に追加することとしました。
エコアクション21はISO14001に比べ、認定にあたっての審査基準が少なく、また認証手続も簡便であることから、ISO14001の5点より下位の3点とし、いずれの認証も取得している場合には、これらの評点の合算は行わないことになっています。
監理技術者講習受講者の経審上の加点内容の改正について
上記までの加点事項とは別のお話なのですが、これまでは有効期間の直前に受けざるをえなかった監理技術者講習が、
「講習修了の日の属する年の翌年から5年間」となったことから、
業務の都合のいい時期に受講可能になっています。
上記の例でいきますと、平成30年2月28日に講習を受講しておりますので、
これまでは、平成30年2月28日(表で一部、H30.2.8になっていますが、正しくは2.28です)から令和5年2月27日までが加点可能期間だったのが、
平成30年2月28日に受講したものは、平成31年1月1日が起点になるため、加点可能期間が令和5年12月31日までとなります。
これは、例えば、平成30年のいつ受けようが起点が平成31年1月1日となるため、業務の都合のいい時期に受講が可能になることを意味しているので、現場がないタイミングといったところで受講時期を調整しやすくなったと言えるでしょう。
CCUS(建設キャリアアップシステム)の影響がかなり大きいです!
上記の中でも、CCUS(建設キャリアアップシステム)に関する影響がかなり大きく、経営事項審査において、P点への影響が約20点近くになるケースもあります。
※P点は経審の「総合評定値」と呼ばれており、「合計点」のことだと思ってください。
そのため、経営事項審査(経審)の加点を狙っている建設業者様は、CCUS(建設キャリアアップシステム)の現場導入はすぐにでも行った方がいいと言えるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
経営事項審査は、近年かなり審査項目が追加されており、いわゆる「社会性(W点)」に係る部分の改正が目まぐるしいです。
※W点というのは、先ほどの合計点P点の一部になります。
この「社会性(W点)」については、会社のやり方次第ですぐに取り組めるようなものもありますので、経営事項審査の点数アップを狙うのであれば、今回ご紹介した事項以外のものも含め、まずはW点へ目を向けていくようにしましょう。
弊所では、公共工事の発注者経験のある代表が、経営事項審査や公共工事受注のアドバイスをしっかりと行い、公共工事を受注できる仕組みづくりをサポートいたします。
当事務所について
当事務所は、1級土木施工管理技士所有の行政書士による行政書士業界では珍しい「建設業専門」の行政書士事務所です。また、社会保険労務士事務所を併設している社会保険を熟知している行政書士事務所です。
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