注意:国土交通省の「建設Gメン」の運用方針が固まりました!

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、以前にもお話をしております「建設Gメン」について、国に動きがありましたので、お話したいと思います。

具体的には、建設Gメンの運用方針が決まった、というお話になります。

では、早速見ていきましょう!

「建設Gメン」について、知りたい方はこちら

「建設Gメン」の令和6年度の運用方針について

➀建設Gメンの実地調査

今年度、建設Gメンによる「実地調査」が行われる予定です。具体的には、

広く取引実態を把握した上で、その後の改善指導等に繋げていく観点から、特定の規模の工事や建設業者、時期に限定することなく、業界全体を対象に実施していく。その上で、実地調査をより効率的に行うため、書面調査を大幅に拡大し、そこで把握した疑義情報や、「駆け込みホットライン」に寄せられた通報を活用して、違反の疑いのあるものを優先して実施し、注意喚起などの改善指導を行っていく。また、確度の高い疑義情報を収集すること等を目的に、下請Gメン等と連携を図り、取組をより効果的に行っていく。
実地調査により違反のおそれを把握した場合には、建設業許可部局による強制力のある立入検査等に繋げていくなど、運用の工夫を行いながら、実効性を確保していく。

とあり、どの企業も対象になり得ることを示唆した上で、確度の高い情報収集手段により、確実に違反者を見つけ出そうとしている姿勢がうかがえます。

主な調査内容としては、

令和5年11月に「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(内閣官房・公正取引委員会)が策定されており、労務費の価格交渉について、注文者と受注者のそれぞれが採るべき行動・求められる行動が12の行動指針として示されている。例えば、注文者に対しては、受注者から取引価格の引き上げを求められた場合には、協議のテーブルにつくことなどが採るべき行動として示されているが、特に、注文者が本指針に沿わない行為をした場合、独占禁止法上問題となりうるため、本指針に基づいた適切な対応が強く求められている。

また、改正建設業法が公布され、国が示す「適正な労務費の基準」を著しく下回る見積りや、当該基準を著しく下回ることとなる額への変更依頼・請負契約の締結が禁止されるとともに、資材価格等の高騰に伴う請負代金変更に係る協議ルールの整備など、技能労働者の賃金原資である労務費の確保とその行き渡りのための措置が講じられた。新たに措置されたこれらのルールの施行を見据え、当該ルールに係る取引実態を先行的に調査するとともに、新ルールを踏まえた適切な対応、不適当な取引の改善を強く求めていく必要がある。

加えて、本年4月から、建設業に対する時間外労働規制の適用が始まった。今後は、長時間労働の是正はもとより、週休2日(4週8休含む)の確保をはじめとした、適正な工期設定による建設業の働き方改革を推進していく必要がある。
以上を踏まえ、今年度、建設Gメンの実地調査は、請負代金、労務費、工期の3点に重点をおいて、発注者、元請負人、下請負人に対して、主に以下について調査をし、不適当な取引に対して改善指導等を行うことにより、取引の適正化を図っていく
なお、実地調査の対象工事において、建設資材業者や運送事業者などの建設工事の関連事業者との取引がある場合には、できる限りその内容も調査するとともに、適切な配慮を呼びかけていく。

とあります。

(1) 適正な請負代金・労務費の確保

技能労働者の適正な賃金水準を確保していくためには、その前提として、発注者・元請間、元請・下請間のいずれにおいても、適正な請負代金による契約が不可欠である。
注文者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、請負人と不当に低い請負代金で契約することは禁止されているが、これに加え、今後、改正建設業法により、建設業者が「適正な労務費の基準」を著しく下回る労務費で見積りを行うことや、注文者が当該基準を著しく下回ることとなる労務費への変更を依頼し、契約をすることが禁止される。

そのため、労務費の交渉に係るこれらの新たなルールの施行を見据え、建設業者が注文者に提出した労務費の見積りの算出根拠や算出した見積額が不適当な金額となっていないか、注文者が労務費の見積額の変更を依頼した場合には当該変更後の労務費の算出根拠、当該算出した見積額が不適当な金額となっていなか等について確認を行う。

また、総価としての請負代金が不当に低くなっていないか、見積りから請負代金の決定に至るプロセスにおいて、指値発注など注文者が自己の取引上の地位を不当に利用していないかについて確認を行うとともに、新たなルールについて周知をし、適切な対応を呼びかけていく。

また、昨年10月から、インボイス制度が開始されている。これまでも、元請負人が、免税事業者である下請負人との取引において消費税相当額を一方的に減額することや、元請負人が下請負人に課税事業者への転換を要請し、それに応じて転換したにもかかわらず、元請負人が下請負人と協議することなく、一方的に単価を据え置くことは、建設業法や独占禁止法上問題となりうる旨周知してきている。実地調査においては、元請負人に、こうした不適正な取引行為がないかを確認するとともに、改めて、下請負人との取引にあたっては、消費税相当額の取引価格への反映の必要性等について十分に協議を行うことなどについて周知する。

(2) 適切な価格転嫁

労務費を含めた適切な価格転嫁による適正な価格設定を行うためには、請負契約の当事者が対等な立場で価格交渉を行うとともに、元請負人は、直接の取引先である下請負人が再下請負人との取引において適正な価格を設定すべき立場にあることを意識しながら価格交渉に臨むことが重要である。

労務費の価格交渉については、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」において、注文者及び受注者それぞれが採るべき行動・求められる行動が12の行動指針として示されていることを踏まえ、これらの行動が適切に採られているかを確認するとともに、注文者が指針に沿わない行動をしていた場合には、独占禁止法に抵触するおそれがあることから、必要に応じて、公正取引委員会に情報提供を行う

また、契約締結後に、下請負人の責めに帰さない理由により、施工に必要な経費が上昇した場合などは、元請負人と下請負人で適切に請負代金の変更協議を行い、価格転嫁を行う必要があることから、当該変更協議の実施状況や、変更協議を申し出るための請負代金の変更規定が設定されているか否か等の確認を行う。

さらに、改正建設業法により、資材価格の高騰等を踏まえた転嫁協議を円滑化するため、請負代金変更の協議ルールが整備されたことを踏まえ、受注者から注文者に対する変更協議の申出の状況や、申出を踏まえた注文者の変更協議への対応状況等について確認を行うとともに、新たなルールについて周知をし、適切な対応を呼びかけていく。

(3) 適正な工期の設定

適正な工期設定による働き方改革を推進する観点から、本年3月に「工期に関する基準」(令和2年7月中央建設業審議会作成・勧告)が改訂され、建設業者は時間外労働規制を遵守した適正な工期による見積提出に努めなければならないこと、また、発注者は時間外労働規制を遵守した適正な工期による見積が建設業者から提出されたときは、その内容を尊重することなどが明記された。

これらを踏まえ、請負契約(工期変更に伴う契約変更を含む。)の締結の際に、建設業者が工期の見積りを適正に行っているか、また、建設業者が見積もった工期が実工期に反映されているか、実工期による時間外労働の状況等について確認を行うとともに、工期の設定にあたって考慮した「工期に関する基準」の内容等を確認する。

また、効果的に調査を行う観点から、昨年度に引き続き、労働基準監督署と連携して工期の合同調査を実施する。

(4) 適正な下請代金の支払い

技能労働者の雇用の安定を図る上で、下請代金を現金で支払うことは重要である。建設業法では、元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切に配慮しなければならない旨規定するとともに、元請負人が特定建設業者である場合には、「割引困難な手形」で下請代金を支払うことを禁止している(建設業法第24条の6第3項)。

これらを踏まえ、請負契約において少なくとも労務費相当分については現金払とするよう支払条件を設定しているか、支払において手形を併用する場合には、「割引困難な手形」となっていないか、また、手形の割引料等のコストを一方的に下請負人の負担としていないか等について確認を行う。

また、本年11月から、下請代金支払遅延等防止法における「割引困難な手形」の運用が変更され、公正取引委員会においては、手形の期間が60日を超える手形を「割引困難な手形」として指導の対象にすることとしている。これを踏まえ、建設業法第24条の6第3項の「割引困難な手形」についても、本年11月から、手形の期間が60日を超える手形を、同項が禁止する「割引困難な手形」に違反するおそれがあるものとして、指導の対象にすることとしている。この手形期間の短縮については、これまでも、建設業法令遵守ガイドラインや各種通知等を通じて周知を図っているが、11月の運用開始に向けて、周知の徹底を図っていく。

その際、政府の方針として、令和8年の約束手形の利用廃止に向けて取組を促進していく旨が閣議決定されていることをあわせて周知するとともに、下請契約のみならず、発注者を含めたサプライチェーン全体で、手形の期間短縮等の支払手段の適正化や、前払い比率を高める等の支払条件の改善を図っていく必要があることから、実地調査等を通じて発注者等に適切な対応を求めていく。

とあります。

立入検査の実施としては、相談通報窓口への通報により法令違反が疑われる建設業者や、建設Gメンの実地調査等により法令違反のおそれを把握した建設業者、営業所の実態に疑義のある建設業者、必要な実務経験等を有する技術者の配置に疑義のある建設業者、過去に指導監督を受けた建設業者等を中心に、立入検査を機動的に実施していく予定です。

また、令和2年度以降、毎年10月から12月の3ヶ月間を「建設業取引適正化推進期間」(※)と位置付け、講習会の開催をはじめ、取引適正化に向けた普及啓発に関する活動等を重点的に行っている。今年度は、改正建設業法が公布されたことを踏まえ、普及啓発に関する活動の強化に努めるものとする。
また、建設Gメンについても、当該期間を「集中月間」と位置づけ、とりわけ重点的に取組を行うものとする。
※令和元年度までは、毎年11月を「建設業取引適正化推進月間」として活動

とあります。

②関係機関との連携

(1) 時間外労働規制の適用が始まったことも踏まえ、昨年度に引き続き、都道府県労働局や労働基準監督署と連携して、「都道府県建設業関係労働時間削減推進協議会」や「建設業に対する労働時間等説明会」の開催などを通じ、民間発注者等に対して、適正な工期設定を働きかけていく。

(2) 建設関係団体との情報・意見の交換を積極的に行い、そのなかで、改正建設業法により措置された、新ルールを踏まえた適切な対応を強く求めていくとともに、研修会を合同で開催するなど、新ルールの周知に努める。

(3) 不良・不適格業者に対しては、情報を確知した場合の速やかな情報共有や合同立入検査の実施、営業状況の継続的な把握等について、国土交通省と都道府県の建設業許可部局間で連携・協力して対応するほか、必要に応じて、関係部署と連携して適切な対応を図る。

とあり、他の機関との連携が引き続き行われるため、より込み入った実地調査になることが想定されます。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回は、建設Gメンの運用方針について、お話しました。建設業法の改正や、建設業の働き方改革が施行されて、罰則が明確化する等により調査が行いやすくなっていることから、今後も実地調査は増えていくと想定されます。

また、協力会社等の調査を通じて、自社が実地調査の対象になることも想定されます。

このような事態に対応できるように、常日頃から、各種法令違反がないか確認することも大事だと、私は考えております。

弊所では、実地調査に対応できるようなコンサルティング・アドバイス等も行っております。

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