建設業者が遵守しないとマズイこと

こんばんは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、建設業者が遵守しないとマズイことについてお話ししようと思います。

建設業法令遵守ガイドライン(第7版)が令和3年7月に国土交通省から出ていますが、

その中で、建設業法違反になる(なりそうな)事例について触れようと思います。

見積条件の提示

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により下請負人に見積りを
行わせた場合
元請負人が、「出来るだけ早く」等曖昧な見積期間を設定したり、見積期間を設定
せずに、下請負人に見積りを行わせた場合

③元請負人が下請負人から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請負人
が、未回答あるいは曖昧な回答をした場合
【建設業法上違反となる行為事例】
④元請負人が予定価格が 700 万円の下請契約を締結する際、見積期間を3日として下
請負人に見積りを行わせた場合
⑤元請負人が地下埋設物による土壌汚染があることを知りながら、下請負人にその情
報提供を行わず、そのまま見積りを行わせ
、契約した場合

書面による契約締結(これが一番要注意です)

当初契約【建設業法上違反となる行為事例】
下請工事に関し、書面による契約を行わなかった場合
下請工事に関し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契約書面を
交付した場合

③元請負人からの指示に従い下請負人が書面による請負契約の締結前に工事に着手
し、工事の施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合
④下請工事に関し、基本契約書を取り交わさない、あるいは契約約款を添付せずに、
注文書と請書のみ(又はいずれか一方のみ)で契約を締結した場合

追加・変更契約【建設業法上違反となる行為事例】
①下請工事に関し追加工事等が発生したが、元請負人が書面による変更契約を行わな
かった場合
②下請工事に係る追加工事等について、工事に着手した後又は工事が終了した後に書
面により契約変更を行った場合
③下請負人に対して追加工事等の施工を指示した元請負人が、発注者との契約変更手
続が未了であることを理由として、下請契約の変更に応じなかった場合
④下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請工事の工期が当初契約
の工期より短くなり、残された工期内に工事を完了させるため労働者の増員等が必
要となった場合に、下請負人との協議にも応じず、元請負人の一方的な都合により
変更の契約締結を行わなかった場合
⑤納期が数ヶ月先の契約を締結し、既に契約金額が確定しているにもかかわらず、実
際の納入時期における資材価格の下落を踏まえ、下請負人と変更契約を締結するこ
となく、元請負人の一方的な都合により、取り決めた代金を減額した場合

工期

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人が、発注者からの早期の引渡しの求めに応じるため、下請負人に対して、
一方的に当該下請工事を施工するために通常よりもかなり短い期間を示し、当該期
間を工期とする下請契約を締結した場合
②下請負人が、元請負人から提示された工事内容を適切に施工するため、通常必要と
認められる期間を工期として提示したにも関わらず、それよりもかなり短い期間を
工期とする下請契約を締結した場合
③工事全体の一時中止、前工程の遅れ、元請負人が工事数量の追加を指示したなど、
下請負人の責めに帰さない理由により、当初の下請契約において定めた工期を変更
する際、当該変更後の下請工事を施工するために、通常よりもかなり短い期間を工
期とする下請契約を締結した場合

工期変更に伴う変更契約

【建設業法上違反となる行為事例】
①下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請工事の当初契約で定め
た工期が変更になり、下請工事の費用が増加したが、元請負人が下請負人からの協
議に応じず、書面による変更契約を行わなかった場合
②工事全体の一時中止、前工程の遅れ、元請負人が工事数量の追加を指示したことな
どにより、下請負人が行う工事の工期に不足が生じているにもかかわらず、工期の
変更について元請負人が下請負人からの協議に応じず、書面による変更契約を行わ
なかった場合

工期変更に伴う増加費用

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人の施工管理が不十分であったなど、下請負人の責めに帰すべき理由がない
にもかかわらず下請工事の工程に遅れが生じ、その結果下請負人の工期を短縮せざ
るを得なくなった場合において、これに伴って発生した増加費用について下請負人
との協議を行うことなく、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合
②元請負人の施工管理が不十分であったなど、下請負人の責めに帰すべき理由がない
にもかかわらず下請工事の工期が不足し、完成期日に間に合わないおそれがあった
場合において、元請負人が下請負人との協議を行うことなく、他の下請負人と下請
契約を締結し、又は元請負人自ら労働者を手配し、その費用を一方的に下請負人に
負担させた場合
③元請負人の都合により、下請工事が一時中断され、工期を延長した場合において、
その間も元請負人の指示により下請負人が重機等を現場に待機させ、又は技術者等
を確保していたにもかかわらず、これらに伴って発生した増加費用を一方的に下請
負人に負担させた場合
④元請負人の都合により、元請負人が発注者と締結した工期をそのまま下請負人との
契約工期にも適用させ、これに伴って発生した増加費用を一方的に下請負人に負担
させた場合

不当に低い請負代金

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人が、自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、
下請負人による見積額を大幅に下回る額で下請契約を締結した場合
②元請負人が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取扱いをする可
能性がある旨を示唆して、下請負人との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請
契約を締結した場合
③元請負人が、下請代金の増額に応じることなく、下請負人に対し追加工事を施工さ
せた場合
④元請負人が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合
⑤元請負人が、下請負人と合意することなく、端数処理と称して、一方的に減額して
下請契約を締結した場合
⑥下請負人の見積書に法定福利費が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請
負人がこれを尊重せず、法定福利費を一方的に削除したり、実質的に法定福利費を
賄うことができない金額で下請契約を締結した場合
⑦下請負人に対して、発注者提出用に法定福利費を適正に見積もった見積書を作成さ
せ、実際には法定福利費等を削除した見積書に基づき契約を締結した場合
⑧元請負人が下請負人に対して、契約単価を一方的に提示し、下請負人と合意するこ
となく、これにより積算した額で下請契約を締結した場合

指値発注

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人が自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、一
方的に提供、又は貸与した安全衛生保護具等に係る費用、下請代金の額を決定し、
その額で下請契約を締結した場合
②元請負人が合理的根拠がないのにもかかわらず、下請負人による見積額を著しく下
回る額で下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
③元請負人が下請負人に対して、複数の下請負人から提出された見積金額のうち最も
低い額を一方的に下請代金の額として決定し、その額で下請契約を締結した場合
④元請負人が、下請負人から交付された見積書に記載されている労務費や法定福利費
等の内容を検討することなく、一方的に一律○%を差し引きするなど、一定の割合
を差し引いた額で下請契約を締結した場合
【建設業法上違反となる行為事例】
⑤元請下請間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、下請負人に工事
を着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に元請負人が下請負人との協議に応じ
ることなく下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
⑥元請負人が、下請負人が見積りを行うための期間を設けることなく、自らの予算額
を下請負人に提示し、下請契約締結の判断をその場で行わせ、その額で下請契約を
締結した場合

不当な使用資材等の購入強制

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①下請契約の締結に、元請負人が下請負人に対して、下請工事に使用する資材又は
機械器具等を指定、あるいはその購入先を指定した結果、下請負人は予定していた
購入価格より高い価格で資材等を購入することとなった場合
②下請契約の締結後、元請負人が指定した資材等を購入させたことにより、下請負人
が既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭面及び信用面における
損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販売店との取引関係が悪
化した場合

やり直し工事

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し
工事を下請負人に行わせ、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合

赤伝処理

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①元請負人が、下請負人と合意することなく、一方的に提供、又は貸与した安全衛生
保護具等に係る費用、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費
用及び下請代金を下請負人の銀行口座へ振り込む際の手数料等を下請負人に負担
させ、下請代金から差し引く場合

②元請負人が、建設廃棄物の発生がない下請工事の下請負人から、建設廃棄物の処理
費用との名目で、一定額を下請代金から差し引く場合
③元請負人が、元請負人の販売促進名目の協力費等、差し引く根拠が不明確な費用を、
下請代金から差し引く場合
④元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請負人に使用させる場
合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合
⑤元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し
工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額すること
により下請負人に負担させた場合

下請代金の支払い

支払保留・支払遅延

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査及び元請負人への引渡しが
終了しているにもかかわらず、下請負人からの請求行為がないことを理由に、元請
負人が下請負人に対し、法定期限を超えて下請代金を支払わない場合
②建設工事の前工程である基礎工事、土工事、鉄筋工事等について、それぞれの工事
が完成し、元請負人の検査及び引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、
工事全体が終了(発注者への完成引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金
として下請代金の一部を支払わない場合
③工事全体が終了したにもかかわらず、元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越
した場合
④元請負人が注文者から請負代金の出来形部分に対する支払を受けたにもかかわら
ず、下請負人に対して、元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合に相応
する下請代金を、支払を受けた日から1月以内に支払わない場合

下請代金の支払手段

【建設業法上望ましくない行為事例】
①下請代金の支払を全額手形払いで行う場合
②労務費相当分に満たない額を現金で支払い、残りは手形で支払う場合

長期手形

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
特定建設業者である元請負人が、手形期間が120日を超える手形により下請代金
の支払を行った場合

不利益取扱いの禁止

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
①下請負人が、元請負人との下請契約の締結後、不当に使用資材等の購入を強制され
たことを監督行政庁に通報したため、元請負人が下請代金支払の際に一方的に減額
した場合
②下請負人が、元請負人から下請代金の支払に際し、正当な理由なく長期支払保留を
受けたとし、監督行政庁に通報したため、元請負人が今後の取引を停止した場合

帳簿の備付け・保存及び営業に関する図書の保存

【建設業法上違反となる行為事例】
①建設業を営む営業所に帳簿及び添付書類が備付けられていなかった場合
②帳簿及び添付書類は備付けられていたが、5年間保存されていなかった場合
③発注者から直接請け負った建設工事の完成図等の営業に関する図書が、10年間保
存されていなかった場合

です。

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建設業「許可」専門でやっているような書類代行だけやっている先生より、「建設業に携わるのはどのような方で、何故そもそもその人たちが必要なのかといった」工事現場を通して肌感覚で感じた経験のあることで、様々な事例や相談に柔軟に対応できる元市役所職員(技術職)で現場の監督員経験もある行政書士がフットワークよく丁寧に対応させていただきます。

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※単純に建設業許可といっても、近年の法改正で社会保険加入が義務化されていたりしています。そのため、社会保険を知らない行政書士が建設業許可申請を行うと、思わぬとばっちりを食らう可能性があります
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