建設業許可を取得したことで、最大のデメリット?になるかもしれないお話

こんにちは。社会保険労務士・行政書士の浜田です。

今日は、建設業許可を取得したことによる弊害?について、お話します。
(「?」とあえてしているのは、個人的には、少々疑義のあるお話だからです。)

※このお話は、先日、埼玉県のとある担当者とお話していた際に出た話なのですが、「本当に(県として)この解釈で大丈夫なのか…?」と疑義のあるお話だったので、忘備録も兼ねて、あえて残しておこうと思いました。

建設業許可を1業種でも取得すると、「全業種」において主任技術者が必要になる(らしい…)

少し堅苦しいお話になりますが、建設業法第26条において

「建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第7条第2号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。」

という、主任技術者の規定があります。

主任技術者とは、建設現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者のことをいいます。

そして、この主任技術者は、一般建設業許可における、営業所専任の技術者と同等の要件が必要になります。
⇒要するに、実務経験や資格等が要求されるということです。

さらに、ここでいう「建設業者」は、建設業許可を取得した業者のことを指しておりますので、トータル的に条文を見ると、建設業許可を受けた建設業者は、現場に主任技術者を置かなければならないということになるのです。

ここで、1つの問題が生じたのですが、この主任技術者を置くべき対象になる建設工事は、「全ての」建設工事だというのが埼玉県の見解です。

これが何を意味しているかわかりますでしょうか?

結論からいいますと、建設業許可を取得していない業種においても、その業種における主任技術者の設置が必要になるというのです。

この説が、いかにあり得ないレベルのことを言っているのかを具体例で見ていきましょう。

例えばになりますが、とある建設業者さんが「造園工事業」の建設業許可を取得しているとしましょう。
※その他の業種は、許可を取得していません。

その場合に、例えば「とび・土工・コンクリート工事」に関する建設工事を受けた場合、「とび・土工工事業」における主任技術者の要件を充足していないとダメだというのです。

これって、物理的に難しいと思いませんか?

この理論で行きますと、例えば、一人親方で、実務経験10年(資格は、なし)により建設業許可を1業種のみ取得しているような場合で、かつ、その方の建設業の経験が10年しかない場合、物理的に他業種の工事を一切行うことができないということになってしまいます。
⇒解説:(埼玉県の理屈では)他の業種の工事を行うためには、他の業種の主任技術者の要件を満たさないといけないのですが、基本的に重複した期間で複数の業種の実務経験がある場合は、1つの業種としてしか認められないので、10年しか実務経験がなく、かつ、資格を持っていないような人の場合には、1業種の許可しか物理的に取得することができず(この辺りは、建設業許可の基礎知識のお話になります)、主任技術者の地位としても、その1つの業種しか認められないからです。

これは、さすがに法の解釈としておかしいと思います(他の業種において、建設業許可が要求されている規模の工事ができないのは当たり前としても、建設業許可制度の趣旨から大きく逸脱した解釈をしているように個人的には感じています)し、さらに、実務経験で「建設業許可における業種の追加」を将来的に行うような場合、ずっと主任技術者になれない状態で工事を行っていた他の業種の工事経験を実務経験として、建設業許可を追加しようとしている(ここまでくると、???となる人もいるかもしれませんが、何とかついてきてください)ことを黙認していることにもなるので、もはやわけのわからない世界になってきます。
⇒業種追加の話を指摘したら、さすがに担当者も困ってました(いやいや、自分たちが困るような変な解釈をするなよ…と思いました)。

確かに、法律の条文をそのまま読むと埼玉県のような解釈として読めるかもしれませんが、さすがに法律の趣旨を踏まえると、実態と乖離した解釈だとしか言いようがないので、考え方をあらためていただきたいな(笑)と、切に感じました(結果的に、自分たちの首もしめてますし…)。

まとめ

法律には必ず「背景や趣旨」があって、現在の法律の規定になっています。

ですので、もう少し、実態に即した形での解釈が求められるのではないかと思います。

行政機関が解釈を誤って自らの首もしめるようなことは、やめたほうがいいのになぁ…と感じたお話でした。
⇒ちなみにですが、このお話の結論としては、許可を受けていない業種については、主任技術者の配置は「不要」ですので、ご安心ください(複数の自治体を調査し、大半が私と同じ見解でした)。
※とは言え、現場を施工するのに、立場によって管理も必要でしょうから、あくまでも「法律上の義務付けはない」というくらいの認識でいた方がいいと思います。

今後も、建設業許可に関する基礎知識以外にも、役に立つような知識等々も発信していきます。


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